支援者のひとりごと

障害者福祉・高齢者福祉にたずさわり感じたこと思うままに

支援者という言葉に特に意味はない

ブログタイトルに"支援者"という言葉を使っているが、特に意味はない。
同じように福祉とは?と自分なりに考えては答えが出たりまたわからなくなったり、そんなことを繰返しあっという間に10年だ。
私が20歳の頃、障害福祉の法律が施行された。障害者自立支援法だ。
当時、私は、就労継続B型という事業所の職員だった。一般企業への就職を目指す方もいれば、一般就労を挫折した方、定年退職後の居場所として過ごす方もいた。特別支援高等学校卒業した方もいて、年齢幅の広い利用者さんたちだった。

当時の私は、ここは就労継続B型。
"仕事をする事業所"ということが念頭にあった。国の法律上では、1ヶ月最低賃金3000円を支払うという規定があり、3000円なんて安すぎる、暮らせないじゃんと思っていた。全国の就労継続B型の平均賃金は10000円だったが、10000円でどうやって生きるんだよ。おかしいだろ!ってもやもやしていた。障害者年金があるよ?っていう職員もいた。障害者年金なんて8万だよ?じゃぁあなた10万以下で暮らせるの?なんてことを他の職員にぶつけたこともあった。
暮らせなくはないと思う。思うけど、物価は障害者も健常者もおなじ。でも働いても働いても1ヶ月1万円の対価って、やっぱりおかしくない?と思っていた。じゃぁ1万円じゃなくて、5万円とか、とにかく賃金をあげればいいじゃんって思った。
障害者施設のほとんどが一般企業の下請けの下請けを担い、微々たるお金を稼いでいた。
でもやっぱり下請けの下請けはお金にならないんだよ。じゃぁどうするか。職員が新しい仕事を開拓するしかないじゃん。
この自立支援法を機に、全国では、飲食店事業を展開したり、自主製品に力をいれたりしているところもあった。
だからお金の稼ぎ方は一択ではないし、利用者さんとどんな風に社会参加できるかなんだと思う。
私が、行ったことは、障害者だからって思わせないことだった。障害者だろうと健常者だろうと出来ないものは出来ないし出来るものは出来る。
一般企業に仕事をもらえるか交渉しにいく際に、障害者だから健常者に依頼するより値段を下げるとか、要するに、結果仕事を完璧に納期したらいいんじゃないの?って。
障害者だからって卑下にならなくていいじゃん。

って私は、支援者ぶっていたが、当時の利用者さんや利用者さんの家族はどう思っていたのだろうと…。

私は、確かに施設職員で支援者をしていた。が、当時を振りかえると、利用者さんの気持ちを置いてけぼりにしていたのではないかと思う。

結果5年後には5万円の賃金にはなったが、保護者の方と今後の方針について面談をした。

ダウン症の彼は言語コミュニケーションも少し不安はあるものの、お金の価値もわかり、自分の欲しいものをお給料から買っていた。
彼なら経験を重ねたいま、一般企業への就労は難しくないと私は、思っていた。

彼のお母様は、給与が増えて対価をもらえることは本人にとってモチベーションに繋がっていると思う。でも一般企業への就労はまだ考えていない。うちの息子、見知らぬ人へ挨拶できるようになったんですよ。いま、施設に通い楽しいと言って毎日帰宅します。と仰っていた。

一般企業へ出向いて仕事をするとき、おはようございます。から仕事が始まる。施設でも挨拶はします。でも、施設内で挨拶するのと違う。

お金を稼ぐことは大事だ。
でも社会参加や、もっと大事なことを私は、見落としていたと思う。

支援者なんて言葉はおごりだと思う。
私にとっては、支援者という言葉に特に意味はない。